前置き
MayaLTとは
Autodesk社の提供する統合3DCGツールMayaのモバイルゲーム開発向けのエディションです。
Maya LT | ゲーム開発ソフト | オートデスク
モバイルゲーム開発用に限定し、各種機能に制限がある代わりに価格を抑えています。
価格
以前は永続ライセンスとして売り切りで販売されていましたが、現在(2017/06)はサブスクリプション制に移行しています。
通常のMayaが、241,920円/年かかるのに対し、
MayaLTは、35,640円/年となっています。
LT版といえど、決して安いわけではないのでまずは使ってみることをお勧めします。
また、学生は商用利用不可の制限はありますが、機能制限のないMayaを無償で使用できます。
学生と教員向けの無償ソフト | Maya | オートデスク
動作環境と体験版
以前は環境依存が大きく、ハードウェア面でもQuadroやFireProが推奨されるなど制約が厳しかったのですが、
現在ではDirectXもサポートされ、GeforceGTXでも動作検証されている物もあり、比較的使いやすくなってきています。
お金に余裕がある方は、無用なトラブルを避けるために個人的にはQuadroなどの対応グラフィックボードをお勧めします。
Maya 認定ハードウェア
1カ月利用できる体験版もありますので、まずはハードウェアが対応しているか、どのような操作体系なのかを知るために使ってみるのが一番です。
MayaLTを使うメリット
一番のメリットは、Mayaがほぼ業界標準と言っていいほどのシェアを占めていることだと思います。
ユーザーが多いのでスキルを持った人を確保しやすく、ノウハウを流用できるためです。
MayaLTを使うデメリット
機能面では他のツールの詳細を知らないのでカタログ的な見方になりますが、最近の統合系のソフトはほぼ同じようなことができるようなので、
無理して価格が高めなMayaLTを選ぶ必要もありません。
LT版はレンダリングができなかったり、プラグインが使えなかったり、fbxの出力制限があったり(UnityやUE4向けには実質無制限)するので、
indie向けの価格を抑えた作りになっています。
もともと業務用というだけあって、書籍代は一般向けではないので部数が出ないせいか、高めです。
また、MayaLT用のものは殆どなく、Maya用のもので勉強することになると思います。
MMDなどで一般にも認知されているBlenderやメタセコイアに比べてデメリットになっています。
それでもMayaLTを使いたいですか?
結局ツールなので、価格、使いやすさ、機能、習得コスト(時間や参考書代など)の4点を重視して判断することになります。
私がBlenderなど無償のツールがあるにも関わらずMayaLTを使っているのは、メリットがデメリットを上回っているからに過ぎないです。
2017Update3でUV展開が非常に使いやすくなってさらにメリットが増えましたが、今後価格が上昇するなどのデメリット面が増えていけば
ツールを切り替えることも視野に入ってきます。
初心者向けの勉強法
それでもMayaLTを使いたいという方に、私が実践した勉強法を紹介します。
3DCG全体への理解
まず、MayaLTを勉強する以前に、自分がどのくらい3DCGについて知っているかを把握する必要があります。
全くの素人であれば、3DCGと検索して、どのようなことができるのか、どのようにして作るのかざっくりとで構いませんので見てください。
ある程度理解できるようになったら、実際にツールを使って試行錯誤を繰り返し少しずつツールに慣れていくことになります。
勉強はチュートリアルが一番
LT版ではありませんが、Maya公式チュートリアルビデオです。
Maya Learning Channel | Autodesk :: AREA JAPAN | ムービー
参考にはなるのですが、正直これだけでは不足です。
そこで、書籍レベルのチュートリアルを一つやってみるのが良いです。
私が実際に使ったのがこれです。
はい、高いです。
しかも、2012バージョンなので、2015から2016へUIが大幅に変わった時の対応ができていません。
2016からMayaLTを勉強し始めたので、当時はネットでも2016に対応した情報が少なく、体系的に勉強するためにUIの違いをネットで調べながら読んでいきました。
ちなみに、この本「NEW GAME!!」というアニメの主人公が最初に手渡され勉強するように言われた本でもあります。
TVアニメ『NEW GAME!!』オフィシャルサイト
2012バージョンで収録されているにも関わらず販売され続けていますので、比較的良書であることは間違いないと思います。
(独学でMayaを勉強しようという人が少ないから他の本が出なかったとも取れますが・・・)
しかし、最近こういう本が出ました。UIも2016対応しています。
スキニングやアニメーションなどの説明が無いので少し不足している感がありますが、現時点でMayaLTを初めて触るという方にはこちらをお勧めします。
ある程度MayaLTの操作に慣れてきたら、自分の作りたいものを作ってみましょう。
チュートリアルでは出てこなかった疑問や効率的な操作法など、知りたいと思うことがたくさん出てくると思います。
この段階になると、調べて潰していくことになります。
何を調べればいいのかある程度判断できるようになっているはずなので、キーワードで検索をかけて知識を増やしていきましょう。
時々どう調べていいかも分からないような壁にぶつかることもあると思います。
そういう時は思い切ってネットの掲示板やSNSで質問するのも一つの手ですが、
的確な答えを得るためにも、的確な質問ができないと答える側も答えられないので、ある程度の基礎知識は必要になるのです。
そのために、チュートリアルは一通りやったうえで、これを勉強しましたと言えば相手もどのくらいの知識があるかを分かったうえで回答することができるのです。
余談ですが3DCGをやっていくと、他のDCCツールとの連携方法や、データを作るうえでの制約も知る必要が出てきます。
むしろこちら側で困ることが多い気がするのですが、今回の記事とは別の話ですので、ここでは割愛します。
2017/10/18、2017/02/14追記
上で紹介したMaya トレーニングブックの新しいバージョンが出ました。
解説画像もMaya2018なので、Maya2016以降を使う方はこちらが良いと思います。
NURBS関連がぐっと減って、ローポリモデルの作例等が追加されています。
操作や説明については3で記述されていることをMaya2018のインターフェースで書きなおしている部分も多々ありますが、初心者がUIの差で悩むことを考えたらこの値段でも高くは無いと感じます。
サブスクリプションを止めたり、プラグインなどの関係で2015を使っている方は3の方をお勧めします。
2018/02/14追記
伊藤さんの本の下巻が発売されます。
これで不足していたアニメーションやスキニングの部分もばっちりです。
ただ、どちらも入門書なので、既に仕事として使っている方には内容が不足かもしれません。
しかし、全部入れると今度は初心者向きではなくなってしまうので、バランスは良い感じだと思います。
現時点でのお勧めは、
これを1冊
または、この2冊セット
が初心者には最適な教科書的本だと思います。